EPA(経済連携協定)




 

目次

EPA(経済連携協定)とは

EPA(経済連携協定:Economic Partnership Agreement)とは、関税の撤廃や非関税障壁の除去に加えて、投資や人的交流の拡大、様々な分野における協力など多岐にわたって経済関係を強化することを約束した2ヶ国間の協定のことです。

EPAは、FTAの内容をより拡張したものであるとされています。FTAは、単に関税の撤廃や非関税の除去に焦点を当てている協定であるからです。

 

EPAを締結することのメリット

EPAには双方の国にとって経済的にも政治的にも好影響をもたらすと言われています。

経済に関しては、貿易や投資がより円滑に行われることが挙げられるでしょう。一般的に、他国から財・サービスを輸出する場合、関税がかかります。

関税というのは、税率が高い租税であり、輸出する側からすれば、この関税が掛けられることで価格が上がってしまい、思い通りに販売することができません。価格が上がってしまうと、輸出先の国の製品よりも価格競争の面において不利になってしまうからです。

関税が無くなれば、価格競争の面で不利にならず、対等に現地の企業と戦うことができ、売り上げを格段に伸ばすことができるようになります。

 

経済関係が深まれば、政治の関係も強化されます。例えば、経済関係が深い貿易国が戦争に巻き込まれたとします。この国とは積極的に貿易をしているため、この国が戦争で経済が低迷すると、こちら側まで経済が低迷してしまいます。

その影響を少しでも弱めるために、貿易国に対して積極的に援助を行い、経済を持ち直すようにする手助けをするインセンティブが働きます。

 

EPAと日本

 

貿易の自由化が世界的な課題として注目されてから、FTAやEPAの動きは加速をしています。FTAに関して言えば、80年代にはFTAの締結数はおよそ20件程度であってにもかかわらず、2010年には250を超える件数に達しています。

日本は2002年初めてシンガポールとEPAを締結しました。それから、マレーシア・フィリピン・タイなど、アジア諸国を中心にEPAを積極的に締結し、今や15の国とEPAを締結しています。

 

しかし、日本が締結するEPAはこれだけにとどまろうとせず、アジア地域以外の様々な国ともEPAを打診しています。日本はカナダやトルコ、コロンビア、EUと現在交渉中です。

その中でも、最も注目されているのが、EUとのEPAです。

 

日EU経済連携協定(日欧EPA)

 

日本とEUのEPAの交渉は2013年4月に始まりました。もし、日EU経済連携協定が成立すれば、国内総生産(GDP)で見ると全世界の約30%を占め、貿易量で見ると約36%を占めるという巨大な自由貿易圏が出来上がると言われています。このことから、日欧EPAは「メガFTA」に位置付けられています。

日本はアメリカや中国に貿易が偏り過ぎているため、アメリカや中国の景気の変動の影響を受けやすくなっています。経済変動のリスクを分散するという意味で、EUとも多額の貿易を行うというのは有効だと思います。

 

EU

 

しかし、現時点では交渉が難航しており、妥結の道筋が見えておりません。日本はEUに対して自動車関税の引き下げを要求しています。その一方で、EUは日本に対して、農産品・加工食品の関税の引き下げ、鉄道の開放、自動車や食品添加物の規制などの非関税障壁の撤廃を求めています。

日本とEUはお互いの要求に大きな溝があり、成立するにはまだ時間がかかる見込みです。

 

1つ目の問題となっているのは、関税の交渉です。EUは日本の自動車に10%の関税を課しており、それの削減が日本の目標となっています。自動車の関税が引き下げられれば、EUに対する自動車の輸出額が増え、自動車産業の更なる発展が期待されます。

しかし、ご存知の通り、日本の自動車は海外でも非常に強力です。自動車メーカーがそれほど強くないEUは、自動車の関税を引き落とすことによって自国のメーカーが弱体化するのを危惧しています。

そこで、EUは対抗策として農産品・加工品の市場開放を日本に求めています。EUからの豚肉や乳製品の輸入額は決して大きいとは言えない状態であり、EUはここを攻めようとしているのです。

しかし、日本は現在TPPで農産品や加工品の交渉の最中であり、これの行方が定まらなければ、EUに対する対応も決定することが出来ないので、立ち往生しているという状況にあります。

 

2つ目の問題は、非関税障壁です。日本は安全基準やその他の規制が非常に厳しいので、思い通りに輸出を出来ていないとEUは主張しています。特にこの点で強く要求しているのはドイツです。

もっと日本へ車を輸出しようと考えているドイツは、自動車の安全基準に加えて、検査の手続きなど多くの項目が、非関税障壁であると主張しています。

 

最後に、EUによる日本の鉄道事業参入が交渉の焦点になっています。そして、この分野だけが日欧EPAの中でも何とか進展していると言われています。

EUは鉄道事業が発展しており、日本に車両や車道、信号などを輸出したいと考えているものの、日本の独特の技術基準が参入障壁となっていました。

そこで、9月には日本とEUの安全基準や技術基準を調和させる専門家会合を立ち上げる予定となっており、この分野に関しては一定の進展があると言えます。

 

しかし、他の分野においては道筋が不透明で、EPAが妥結するのはまだ先になりそうだと思われます。

 

コメント

  1. 経済学部1年 より:

    いきなり申し訳ありません。
    こちらの経済学の問題分かりますでしょうか?

    1,x財モデルにおいて価格下落にも関わらず消費量が減少する場合について説明せよ

    2、短期の完全競争市場で企業は損失が発生していても操業を続ける場合がある、その理由は?

    数人で勉強しているのですが分かりません。

    • econ より:

      返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
      1.に関しては、ギッフェン財のことでしょう。私の書いた記事に詳しく書いてあるので、参照してみてください。
      2は、損益分岐点と操業停止点の問題であり、この2つのキーワードで検索すれば答えが出てきます。

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