相対所得仮説~ラチェット効果とデモンストレーション効果~

相対所得仮説

相対所得仮説とは、デューゼンベリーが唱えた消費に関する仮説で、現在の消費Cは時間や空間に左右されるというものです。時間の影響を受けて表れる効果をラチェット効果、空間の影響を受けて表れる効果をデモンストレーション効果と呼びます。(後に詳述します)

現在の消費Cは現在の所得Yのみに依存すると仮定するケインズの絶対所得仮説とは対照的な仮説となっています。一般的に私たちが使うのはケインズ型の消費関数(すなわち、C=cY+c’)ですが、この消費関数では実際の消費性向の動きを捉えることができていないことが指摘されています。

クズネッツの研究によると、消費関数は長期的に平均消費性向が安定しているということが明らかにされています。しかしその一方で、ケインズ型の消費関数はYが大きくなれば平均消費性向は小さくなるということを説明しており、事実と反しています。(ケインズ型の消費関数の両辺をYで割ったとき、C/Y=c+c’/Yとなり、c,c’が一定の下ではYが大きくなれば平均消費性向C/Yは小さくなります。)

そこで消費に対する視点を変えて生まれたのが相対所得仮説なのです。

ラチェット効果(歯止め効果)

まずは、時間に焦点を当てたラチェット効果から見ていきましょう。

人間という生き物は、今までで最大の所得を得ていた時の消費行動に依存し、現在の消費を決定すると仮定することができます。なぜなら、所得が一時的に下がった場合でも、今まで上げてきた生活水準を引き下げるというのは人間にとって抵抗感が生まれるからです。そして、過去の最高所得が消費の落ち込みを歯止めすることをラチェット効果と呼びます。

このような消費行動だと、短期的には所得Yが減少しても消費Cはあまり減少しないため、平均消費性向は上昇します。一方で、長期的には所得が安定して平均消費性向は一定となります。

これを消費関数で見てみます。相対所得仮説の表す消費関数は

C=cY+c’Y’

(c:現在の所得に対する限界消費性向、Y:現在の所得、c’:過去の最大所得に対する限界消費性向、Y’:過去最大の所得)

であり、両辺をYで割ると、

C/Y=c+c’Y’/Y

短期的には現在の所得が減少すると、Y’/Yの値は増加し、平均消費性向C/Yは上昇します。

ただし、長期的には経済は安定的に成長し、所得は上昇していくものだとすれば、現在の所得Yは過去最大の所得Y’と一致します。すなわち、

C/Y=c+c’Y/Y=c+c’=(一定)

となります。

ラチェット効果は、所得が一時的に減少した場合の短期のみに発生するものであると考えれば良いでしょう。

デモンストレーション効果

デモンストレーション効果は空間の影響を受けて表れると先に述べましたが、もっと突き詰めて言うと、同じ空間を共有する周りの人間がその人の消費行動に影響を及ぼすということです。

例えば、自分の周りにある家が豪邸ばかりであれば、豪邸に見えるように多少無理をして見かけを良くするために改修工事をする人がいるかもしれません。あるいは、高級車に乗っている友達が多ければ、金銭的に余裕が無くても高級車に手を出してしまう人がいるかもしれません。

こういった自分より比較的高い生活水準にある人たちの消費行動に合わせようとすることをデモンストレーション効果と呼びます。

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