「景気」の考え方




 

目次

景気とは

景気とは、経済活動の活発さを表す指標であり、活発であるときには好景気と表現し、活発でないときは不景気と表現されます。

経済活動が活発である状態、すなわち、好景気とは、例えば、企業側から見ると、積極的に生産活動を行って販売したり、人員の採用を増大させたりしている状態であり、消費者側から見ると、積極的に財・サービスを消費している状態を指します。

反対に、モノが売れなくて困っている企業が多く、消費者の購買意欲が小さい状態は、不景気であると言われます。

 

景気を見る際に、国全体や世界全体の観点(マクロ)から考えたり、それぞれの地域や業界の観点(ミクロ)から考えたりする場合があります。マクロで景気を見るときには、経済成長率や景気動向指標、完全失業率を用います。一方、ミクロで景気を見るときには企業の収益や家計の収入・支出を利用します。

 

景気循環

景気は、好況、後退、不況、回復の4つの局面を繰り返します。この一連の局面の繰り返しを景気循環と呼びます。

景気循環については、『景気循環』で詳しく説明します。

 

 

日本の代表的な好景気

戦後の日本がどのような好景気を経験したかを紹介します。これらの好景気は非常に有名なので、名前と時期程度は覚えておくべきでしょう。

 

神武景気(1954年11月~1957年6月)

神武景気とは、日本の初代天皇である神武天皇が即位してから例を見ないほどの好景気であるという意味を込めて名付けられました。第二次大戦後に勃発した朝鮮戦争による需要(朝鮮特需)によって日本の経済が非常に活性化することで発生しました。

また、神武景気の前後で「三種の神器」である冷蔵庫、白黒テレビ、洗濯機が登場しました。

 

岩戸景気(1958年6月~1961年12月)

岩戸景気は設備投資の活発化によって生じた好景気であり、天照大神にちなんで名付けられました。ホワイトカラー労働者の賃金の上昇、消費ブームの到来により、景気が拡大していきました。

 

オリンピック景気(1962年10月~1964年10月)

オリンピック景気とは、東京オリンピック開催に伴う建設投資の増大によって発生した好景気のことです。近年では、2020年に東京でオリンピックが開催されることが決定し、再びオリンピック景気を迎えることになるのではないかと考えられます。また、以前のオリンピック開催時よりも観光業が圧倒的に発展しているので、建設業だけでなく観光業も大きな利益を得られるでしょう。

 

いざなぎ景気(1965年10月~1970年7月)

いざなぎ景気とは、日本列島が完成して以来の好景気という意味で、日本列島を作ったとされている「いざなぎのみこと」にちなんで名付けられた。この頃は所得水準の拡張期であり、3C(カラーテレビ、クーラー、自動車)が普及した時代でもあります。

 

バブル景気(1986年11月~1993年10月)

バブル景気とは、株式や土地などの資産価値が急激に高騰したことから名付けられた好景気の名称です。バブル景気の最中は、日本経済が最も潤っていた時代だと言われており、人々の金遣いは非常に荒かったそうです。

 

しかし、バブルが弾けてからは一気に大不況に陥ってしまい、未だにその大不況の尾を引いている状態だと言われています。長期にわたるデフレの原因はこのバブル景気の崩壊にあり、経済の異常な加熱には早急に対策を施さなければならないことを日本国民に知らしめています。

 

いざなみ景気(2002年2月~2008年2月)

いざなみ景気とは、円安を背景として米国や中国に対する輸出の拡大を契機に始まった好景気のことです。いざなぎ景気の長さを超える戦後最長の好景気であり、合計73か月も好景気が続きました。また、「いざなみ景気」という名称は現段階では正式に定められているわけではなく、俗な呼び方であるとされています。

しばしば「いざなぎ景気越え」というキーワードで代替されることもあります。

 

しかし、あくまで「超えている」のは経済の拡張期間に過ぎません。経済の成長率だけで見ると、他の好景気の時期と比べると圧倒的に小さく、数%ずつ微増という状態でした。

また、一部の輸出企業が景気を押し上げただけであって、実質賃金が伸びるどころか減少傾向にあって個人消費が低迷していたことから、実感のない好景気であると言われています。

 

 

 

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