景気循環




 

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景気循環

景気循環とは、好況、後退、不況、回復という4つの局面が順番に繰り返し現れることであり、景気変動とも呼ばれます。(景気については、『景気の考え方』を参照して下さい)また、好況→後退、後退→不況、不況→回復、回復→好況への変遷過程を景気の調整局面と言います。

例えば、好況のときに徐々に景気が悪くなっていれば、後退へと向かっているという意味で、景気の調整局面にあると言えます。

好況で最も良い景気の時を景気の山と呼び、不況で最も悪い景気の時を景気の谷と呼びます。景気循環は、景気の谷から次の景気の谷までを1つの周期としています。

 

 

それでは、何故このように景気には循環があるのでしょうか。その理由には諸説がありますが、代表的なのは、キチンの波ジュグラーの波コンドラチェフの波クズネッツの波です。これらの景気循環の波が複雑に重なり合って、今日の景気循環の波が形成されていると言われています。これらの波の性質について確認してみましょう。

 

キチンの波(キチンサイクル)

最も有力視されているのが、企業の在庫の変動が要因であるとするキチンの波(キチンサイクル)です。キチンの波は1~2年程度が一つの周期であるとされています。

例えば、スーパーやデパートなどの小売店について考えてみましょう。好況期でモノがよく売れるときには、小売店は大量に商品を仕入れ、品切れを起こさないように在庫に商品を保管します。

 

しかし、景気が後退の局面に入り、売れ行きが不調になると、仕入れを減らすことで在庫の商品を減らすようになります。小売店が仕入れを減らしてしまうと、商品の製造元であるメーカーの売り上げも下がることになります。メーカーの売り上げが下がると労働者の賃金も低下し、経済の勢いは衰えます。

このように、在庫の変動が景気循環を形成するというのがキチンの波です。

 

ジュグラーの波 (ジュグラーサイクル)

ジュグラーの波(ジュグラーサイクル)は設備投資を原因とする景気循環のことであり、およそ10年を1つの周期としています。企業の機械などの設備は平均で約10年程度で償却されるということから、周期がこのように定められています。

企業の設備投資の循環と重なるので、設備循環とも呼ばれています。

 

クズネッツの波(クズネッツサイクル)

クズネッツの波(クズネッツサイクル)は建設投資を原因とする景気循環のことであり、およそ20年を1つの周期としています。建設物の需要が約20年で一周することをクズネッツが発見したことからこのように定義されています。

また、20年というのは生まれたての子供が親になるような年齢になる年月であり、人口の変動も原因であると言われています。

 

コンドラチェフの波(コンドラチェフサイクル)

コンドラチェフの波(コンドラチェフサイクル)は技術革新を原因とする景気循環のことであり、およそ50年程度を1つの周期としています。コンドラチェフの波は、景気循環の波の中で、最長の周期を誇ります。

技術革新に該当するのは、自動車や航空機、医療機器の発明など人々の生活に多大な影響を及ぼすものが挙げられます。

 

 

景気循環に関する問題

さて、今まで学んだ波の性質の理解をチェックしてみましょう。しかし、景気の波に関する問題は理解というよりも暗記の要素が強いので繰り返し内容を確認して覚えていきましょう。

 

 

問題 次の4つの文章のうち、正しい記述を1つ選んでください。

 

1.ジュグラーの波は、だいたい10年程度の周期を持つ景気循環のことであり、建設投資をその要因としている。

2.キチンの波は、約40ヶ月の景気循環であり、在庫投資をその要因としている。

3.コンドラチェフの波は技術革新を景気循環の要因としており、その周期はおよそ30年にも及ぶ。

4.クズネッツの波は設備投資を原因とする景気循環であり、その周期はおよそ20年である。

 

 

 

 

 

 

答え 4.

 

 

復習はこちら⇒理解度チェック

 

 

 

 

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