所得効果と代替効果①~上級財(正常財)、下級財(劣等財)、ギッフェン財の分析~

上級財、下級財、ギッフェン財の内容とその具体例を中心に説明していきます。これらの財を深く知るには、価格の変化を見なければなりません。

経済学において、最も重要な要素の一つは価格です。価格は当該商品自体の価値を示すだけでなく、その数量を規定する要因になり得るからです。「価格」の変化はどのように財の消費量に影響を与えているのでしょうか。

この影響を見るには、所得効果代替効果を用いて分析するのが一般的です。そこで、所得効果と代替効果とはいったい何なのかを論じます。

また、所得効果と代替効果を合計した効果を全部効果と呼び、これらの効果は価格の変化に伴って発生するものであると認識しておいてください。

代替効果

代替効果とは、ある財の価格の変化がその財の消費量に影響を与える効果のことです。代替効果は、必ず価格の変化と逆方向に作用します。

例えば、同じ価値のX,Yがあるとしましょう。Y財の価格が一定でX財の価格が上昇したとしましょう。

この時、X財の需要量は減少します。何故なら、価格の上昇によりX財に対して割高感を覚えるしまうからです。X財の需要量が減少した分、Y財が需要されるようになります。結局、ある財の価格が上昇すると、その分その財の需要量は減少し、他の財の需要量を増大させる効果があります。

また、 Y財の価格が一定でX財の価格が下落したとしましょう。この時、X財の需要量は増大します。

何故なら、価格の上昇によりX財に対して割安感を覚えるからです。X財の需要量が減少した分、Y財が需要されるようになります。結局、ある財の価格が下落すると、その分その財の需要量は増大し、他の財の需要量を減少させる効果があります。

つまり、ある財の価格の上昇→その財の需要量の減少、ある財の価格の下落→その財の需要量の増大となります。よって、価格の変化と逆方向に需要量は変化します。

一見ごく当然のことを述べてるように思うかもしれませんが、所得効果とごっちゃになりやすいので軽んじて見ないようにしましょう。

所得効果

所得効果とは、価格が変化したときに実質所得に与える影響を表す効果で、分析対象となる財の性質によってその影響は異なります。

つまり、代替効果のときのように、一意的にこうなればこうなる、ということを定めることが出来ないのです。

ある財の価格が下落したとき、以前より購入できる数量が増大するという意味で、このとき実質所得が増大する、と表現します。

そして、この実質所得が増大したとき、消費量も増大する財を上級財(正常財)と呼びます。また、実質所得が増大したにもかかわらず消費量が減少する財を下級財(劣等財)と呼びます。

上級財は実質所得が減少したときに消費量も減少しますが、劣等財の場合は実質所得が減少したとき消費量が増大します。

全部効果

所得効果と代替効果を総計したものを、全部効果と呼びます。つまり、全部効果=所得効果+代替効果と表記することが出来ます。

ここで、価格が下落した場合、正常財と劣等財の数量がどのように変化するかを見てみましょう。

・上級財(正常財)

上級財とは、実質所得が増加した場合に、それに伴って需要量も増大する財のことをいいます。上級財は価格の下落により実質所得が増大すると需要量も増大するので、所得効果は正であるということが分かります。

次に代替効果について見てみます。代替効果は必ず価格の変化と逆方向の力を需要量に及ぼします。すなわち、価格の下落により、需要量は増大しますので、代替効果は正であることが分かります。

従って、価格が下落した場合に、代替効果及び所得効果は何れも正の値を取るので、全部効果も正となります。

故に上級財は価格が下落すると必ず消費量が増大すると結論付けることが出来ます。

また、正常財は奢侈品と必需品に分けられます。

奢侈品(しゃしひん)

所得の増加率よりも、消費量の増加率が高い財です。すなわち、所得の増加が消費量に大きな影響を及ぼすものを指します。例えば、高級車やダイヤモンドなどがあります。別称はぜいたく品です。

必需品

所得の増加率よりも、消費量の増加率が低い財です。すなわち、所得の増減が消費量に影響をあまり及ぼさない財を指します。例えば、ティッシュペーパーやコンタクト用洗浄液など消費量が大きく変わらない財を思い浮かべると良いでしょう。

・下級財(劣等財)

下級財(劣等財)とは、実質所得が増加するとかえって需要量が減少する財のことをいいます。下級財(劣等財)は価格の下落により実質所得が増大すると需要量は減少してしまうので、所得効果は負であるということが分かります。

次に代替効果について見てみます。代替効果は必ず価格の変化と逆方向の力を需要量に及ぼします。すなわち、下級財はの場合は価格の下落により、需要量は増大しますので、代替効果は正であることが分かります。

一般的な劣等財の場合、所得効果よりも代替効果の影響力の方が大きいので、所得効果と代替効果の和、すなわち全部効果は正の値を取ります。

・ギッフェン財

しかし、劣等財の中でも、極端に所得効果が大きく、代替効果を凌いでしまう財があります。このような財をギッフェン財と呼びます。ギッフェン財とはいったい何でしょうか?一言でいうと、ギッフェン財とは、所得効果の方が代替効果よりも大きく、全部効果が負の値を取る財のことです。

つまり、ギッフェン財は、価格の下落によって消費量が減少してしまうという非常に奇特な財なのです。普通の財の場合は、その価格が安くなれば通常需要量が増えますよね?それがギッフェン財の場合は、安くなると売れなくなるのです。

ギッフェン財と劣等財はしばしば区別され、ギッフェン財は一般的な劣等財とどう違うかを問われる問題が多いので、この点はきちんと押さえておきましょう。

劣等財は価格が下落した場合、最終的に消費量が増加しますが、ギッフェン財は価格の下落により最終的に消費量が減少します。上級財とは違って、劣等財もギッフェン財も所得効果により消費量は減少しますが、劣等財は所得効果があまり大きくないため、代替効果が所得効果を上回り、最終的に消費量は増加します。これが、劣等財とギッフェン財の異なる点です。

・ギッフェン財の具体例

ギッフェン財の具体例として頻繁にじゃがいもが用いられます。例に倣ってここでもじゃがいもを扱って説明します。

ある貧しい国で、じゃがいも以外の食糧が少し高価で手を出せず、人々は長い間じゃがいもを食べて生活しているとしましょう。 この時、じゃがいもの価格が下落したとしましょう。人々はどのような行動を取るのでしょうか。

この場合、人々はじゃがいもではなく、他の少し高価な食糧に手を出すようになると考えられます。なぜなら、人々は長い間じゃがいもを消費することでじゃがいもに飽きてしまい、じゃがいもを安く買えるようになったことで生じた余剰金を他の食糧に使おうとするからです。

さらに、他の食糧を少しでも多く買えるようにじゃがいもへの出費を減少させます。結果として、価格の下落によってじゃがいもの消費量が減少するということになるのです。

・まとめ

所得効果代替効果

所得効果及び代替効果をさらに深く理解するには、『所得効果と代替効果②~スルツキー分解~』を参照してみてください。

復習はこちら⇒理解度チェック

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