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社会的余剰(総余剰)

余剰分析では、消費者余剰、生産者余剰、社会的余剰をそれぞれ求め、どのような値を取るか、市場の変化や政策の変化によってどのように変化するかを分析します。ここでは、社会的余剰に関する内容を解説します。

 

社会的余剰(総余剰)

社会的余剰(総余剰)とは、市場全体の消費者余剰の合計と生産者余剰の合計とを足し合わせたものであり、社会全体の余剰を表します。

 

それでは、消費者余剰と生産者余剰はどのようにすれば求めることが出来たでしょうか、簡単におさらいをします。(参考;消費者余剰生産者余剰

 

まず、消費者余剰は、需要曲線と財の価格を示す直線で囲まれる部分の面積を計算することで求まります。

財の価格よりも上にある需要曲線の一部分に属する人たちは、その財に対してその価格以上の価値を持つと判断しており、その価格で購入できることで価格以上の満足を得られるからです。

 

同様に、生産者余剰は供給曲線と財の価格を示す直線で囲まれる部分の面積を計算することで求まります。

供給曲線は企業がある財を生産するのにいくら費用がかかるかを表す曲線であり、数量が増えるごとに当然その費用は増大することになるので、右上がりの曲線となります。

 

そして、その費用が財の販売価格に達するまで企業は収益を得ることができ、この収益部分がまさに生産者余剰を表します。生産者余剰は消費者余剰と違って、利益(収入ー費用)という客観的な数値が余剰となるので納得しやすいのではないでしょうか。

それでは、社会的余剰の計算を具体的に説明していきます。

 

社会的余剰(総余剰)の計算

需要曲線がP=-X+20、供給曲線がP=Xで均衡価格がP=10であるときを考えます。

このとき、グラフは以下のようになります。

AEOで囲まれる部分が社会的余剰を表します。AEOを求めるために、まずは消費者余剰ABEを求めます。

ABE=1/2×(20-10)×10=50

次に、生産者余剰BEOを求めます。

BEO=1/2×10×10=50

よって社会的余剰AEOは、

AEO=消費者余剰+生産者余剰=50+50=100

となります。

 

今回の場合、たまたま消費者余剰と生産者余剰は等しい数値を取りましたが、ほとんどの場合異なる数値を取るので、必ず消費者余剰と生産者余剰は分けて計算してください。

簡単な問題の場合全体の三角形の計算をすれば求まりますが、そういう覚え方をしていると複雑な問題に対応できなくなります。

 

余談にはなりますが、生産者の生産コストが上昇した場合の社会的余剰の変化を確認してみましょう。

需要曲線は先程と同様P=-X+20、一方で、供給曲線がP=X+10になって均衡価格がP=15になったとしましょう。

このとき、グラフは以下のようになります。

 

社会的余剰ABE=消費者余剰ACE+生産者余剰BCE=12.5+12.5=25

このように、生産コストが上昇して販売価格が上がってしまうと、消費者余剰と生産者余剰の両方を損ねてしまいます。

 

一方で、販売価格が上昇する場合でも、消費者の需要が旺盛になって需要曲線が上にシフトしたときは消費者余剰と生産者余剰、どちらも余剰が高まります。

このように、需要曲線、供給曲線のどちらかがどのように動くかによって余剰の増減の仕方も異なるので、注意が必要です。

 

 

 

 

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