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失業率とは~定義、日本・諸外国の推移~

 

失業率はその名の通り、失業している人の割合を表します。また、失業率はしばしば景気を表す指標の一つとして用いられています。

しかし、失業している人の割合というのは、何に対する割合なのでしょうか。決して人口全体が対象となるわけではありません。また、失業の形態によっても、失業は呼称が異なります。失業の定義と近年の動向を確認します。

 

目次

失業率

一般に失業率という言葉は、労働力人口に対する失業者の数という意味で使われています。注意すべきなのは、失業率は単に人口全体に対する働いていない人の割合を表しているわけではないということです。

 

あくまで、失業率は労働力と見なされる人々のうち、無職の人たちの割合を示しているに過ぎません。ここで、労働力は就業者と失業者の合計数を指します。

このことから、失業率は

失業率=(失業者数÷労働力)×100

の等式で表されます。

 

また、失業者の定義の定義にも注意する必要があります。総務省の統計局によると、失業者というのは、

 

仕事についておらず、仕事があればすぐ就けることができる者で、仕事を探す活動をしている者

引用元:統計局ホームページ

とされています。

つまり、無職は無職でも、仕事を探す活動をしている人が失業者に該当するのです。無職の人のうち、仕事を探さずに暮らしている人というのは失業率に含まれません。同様に、代表的な例ですが、学生や主婦、定年退職者などは失業者には含まれません。勤労を目的としている人でなければ失業者としてカウントされないのです。

 

また、就職活動に失敗して働くことを諦める人もいます。こういった方々は、就職活動をしている当初は失業者と見なされますが、職探しを諦めてしまった場合、失業統計上から姿を消すこととなります。

 

一方、日雇いで一時的に短期間の労働をした場合、これは就業者としてカウントされることとなります。

「就業者」は,特定の短い期間(1週間又は1日)に,
(1) 「有給就業者」,すなわち,賃金又は給料を得る目的で,調査期間に1時間以上の仕事をした者(一時的に仕事をしなかった者(有給休業者)を含む。)又は
(2) 「自営就業者」,すなわち,利益又は家族の利得のために,調査期間に1時間以上の仕事をした者(一時的に仕事をしなかった者を含む。)で,
一定年齢以上のすべての者から成る。

引用元:統計局ホームページ

就職先を探しながら、生活費をまかなうために少しでも働いている場合は失業者ではなく就業者になってしまう、ということです。

 

以上のことから、実際には失業率で表される数値よりも多くの人が無職であるということが分かります。失業率という言葉を正しく知るまでは、失業率というのは主婦や学生を除くのは良いとして、基本的には無職者全員を指すものかと思っていたので個人的には少し驚きました。

 

 

次に、失業の種類にはどういうものがあるのかを紹介します。

 

自発的失業

労働者が現時点における賃金水準に納得しないことから自発的にする失業です。働き口はありますが、労働者がその給料を気に入らないことから発生します。

 

非自発的失業

自発的失業とは正反対の概念で、労働者は働く意欲があるものの、雇ってくれる企業が少ないため失業してしまっている状態です。言わば、求人が足りていない状態のことです。

 

摩擦的失業

企業が求める人材と労働者が企業に求める条件等が不一致の場合に生じる失業です。企業が従業員を適性が無いと判断して解雇する場合や労働者が自分には向いていないと考え離職する場合などが該当します。

 

自然失業率

経済学者のフリードマンが名付けた失業率で、産業構造の変化や雇用保険制度の働きによって発生する失業者の割合のことを指します。労働市場に影響を与える要因によって自然失業率も変化します。例えば、30年前と今の労働市場を比べた時、企業が求めている人材や労働者の持つ特性というのは大きく異なっています。

これらの要因を考慮すると、自然に発生する失業率は変化するというのが分かります。

 

日本の失業率の推移

データ元:統計局ホームページ

 

2004年から2015年までにおける日本の失業率の推移です。

2000年代初頭は景気が良くなかったため、失業率は5%付近と高い水準にありましたが、年を経ることに徐々に回復していました。しかし、リーマンショックが起こった後に再び景気は落ち込み、失業率も高くなりました。リーマンショックや円高不況を乗り越えて景気は持ち直し、2010年以降失業率は低下する基調にあります。

メディアでは自民批判が多く、アベノミクスはしばしば否定されていますが、このように失業率の低下も実現していることから、私は意義のある政策をしていると思っています。

 

 

諸外国の失業率の推移(イギリス、アメリカ、韓国、中国、ロシア)

資料:GLOBAL NOTE 出典:ILO

 

日本と比較的関わりのある国々の失業率の推移を載せておきます。イギリス、アメリカ、韓国、中国、ロシアの2006年から2014年における失業率の推移です。韓国が最も平均的に低い失業率というのは少し意外かもしれません。

中国の失業率に関しては、だいたい日本と同じ水準で推移しています。リーマンショック後に大きな動きを見せているのはもちろん当事国であるアメリカです。

もともと5%付近だった失業率が倍の10%付近になるほど格段に失業率が上がっていますが、その後は日本と同様に労働需要が回復しつつあります。

石油価格の下落や中国の景気低迷など世界経済の情勢は不透明ですが、失業率やその他の指標を理解しておけば、経済情勢に対する考察をより深くすることが出来ると思います。

 

 

 

 

 

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